JR東海・JR西日本は東海道山陽新幹線で、デッキの荷物置き場を予約不要で試行導入。
東海道・山陽新幹線 予約不要の車内荷物置場の試行について

公表されている、主な内容
●実施期間:2025年7月1日より当面の間
 ※終了時期は別途お知らせ
●対象列車:東海道山陽新幹線16両編成の全列車
●対象箇所:1編成当たり6カ所(3・5・7・9・13・15号車のデッキ部)


ここからは個人的な私見

東海道山陽新幹線にこそ、今すぐ予約不要な大型荷物置き場の拡充が急務

今回、試行的に予約不要で利用できる、デッキ部大型荷物置き場
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今回、東海道山陽新幹線の16両編成の一部デッキ設置されている、大型荷物置き場が試行的に予約不要で利用できるようになります。

それに合わせて、現在における、新幹線や特急列車等の大型荷物置き場の状況を見ながら、予約不要な大型荷物置き場の拡充が急務である状況について取り上げようと思います。

少し前まで、日本の新幹線や特急列車で大型荷物置き場が設置されている例は、”はるか””南海ラピート””成田エクスプレス””京成スカイライナー””名鉄ミュースカイ”、と言った空港アクセス列車のみで、他の列車に関しては長らく、ほとんど大型の荷物置き場が設置されておらず、荷物が少ない、日本人向けしか想定されていなかった状況でした。
特急”はるか”の大型荷物置き場
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しかし、昨今は訪日外国人が大幅に増加傾向にあり、外国人旅行客は長期間の旅行も珍しくなく、それだけに大型のキャリーバックを持ち込んで、新幹線や特急列車で移動することも多く見られます。それにも関わらず、大型の荷物置き場が設置されておらず、荷物置き場に困る外国人を多く見かけることとなり、デッキや通路にはみ出して、大型荷物が置かれている状況も多く発生することになりました。

そう言った状況もあってか、この10年ほどで空港アクセス列車以外でも、北陸新幹線や東北新幹線をはじめ、客室内の大型の荷物置き場の設置が徐々に進み、状況は大きく変わりつつあります。
北陸新幹線E7・W7、客室内の荷物置き場
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特急”ひだ””南紀”、HC85、客室内の荷物置き場
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一方で、世界の鉄道の例を見ると、日本の新幹線や特急列車等に相当する、高速列車や長距離列車には客室内に大型の荷物置き場が設置されていることは、以前から当たり前のものでありで、大型荷物を置くのに予約が必要な例は、まずありません
強いて、予約が必要な例と言えば、アメリカのアムトラックで、寝台車も付いた長距離列車の手荷物預かりサービスくらいしか、個人的には把握していません。


"ユーロスター"、客室内の大型荷物置き場

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台湾高速鉄道(台湾高鐵)、大型荷物置き場。東海道山陽新幹線の700系がベースの車両だが、客室内には大型荷物置き場がちゃんと設置されている。

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東海道山陽新幹線の話に戻しますが、東海道山陽新幹線に関して言えば、東名阪や広島・福岡と言う、日本の大動脈であり、訪日外国人のゴールデンルートとも言える場所を通り、多くの外国人客が利用するにも関わらず、大型荷物置き場の設置に関しては、現在においても対応が遅れていると言わざるを得ません

近年はデッキに大型荷物置き場が設置されたり、各車両最後部を大型荷物スペース付き座席とするなどの対応が取られていますが、これらに関しては利用するのに事前に予約が必要な状況です。上述した通り、世界の鉄道を見ると、予約が必要な例はほとんどなく、車内の客室内に大型荷物置き場が設置されていることが当たり前な状況であること、また日本国内でも東海道山陽新幹線以外の列車に関しては予約が不要なことを考えると、大型荷物を持ち込むのに、予約が必要なことは外国人にはもちろん、日本人でも非常に理解し難いシステムであると言えます。

そんなこともあってか、東海道山陽新幹線では、現在でも外国人が荷物置き場に困り、デッキや通路に荷物があふれている状況や、車両最後部のスペースに関しても決して広いとは言えず、リクライニングもしにくくなる上に、予約なしで荷物が置かれている状況などを見ることが、少なくありません。
客室最後部の特大荷物スペース。最後部の座席は要予約で特大荷物持ち込み者向けの座席。
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そして、その試行的に予約不要となる、デッキの荷物置き場に関して、予約なしで試行すると言う点に関しては、一歩前進と言えますが、決して大きいものではなく、置ける荷物など、限られたものであり、取り合いになることは容易に想像できます。
今回、試行的に予約不要となるデッキ部の大型荷物置き場。決して大きいとは言えない。
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このような状況を考えると、東海道山陽新幹線にも、今すぐ予約不要の大型荷物置き場の拡充が急務と言えます。同じJR東海でも、上述のようにHC85系には客室内に大型荷物置き場が設置されていることを考えると、なぜ東海道山陽新幹線では頑なに設置しないのか、疑問にしか思えません
恐らく考えられる理由としては、座席を潰して大型荷物置き場にすると、その分座席数や定員が減少し、それだけ減収となることや、輸送量の減少を懸念して、躊躇しているのでは?、と考えられます。
しかし、これだけ訪日外国人が大幅に増えていて、大型荷物が通路やデッキにあふれている状況を見ても、そんなことを言ってられる状況でしょうか?短期的ではなく、長期的に見て、このような状況が常態化すれば、乗客の顧客満足度が下がる一方になるほか、さらに現場の乗務員の負担も大きくなるばかりであり、今すぐ予約不要な大型荷物置き場の拡充こそが急務であると言えます。

そして、もし座席をなるべく潰したくないのであれば、昨年で廃止になった、喫煙ルームの跡地を大型荷物のロッカーとすることも必要と言えるでしょう。実際に近鉄特急”ひのとり”にはデッキに大型荷物が置けるロッカーがあります。
昨年で廃止になった喫煙ルーム。現在でも、まだ活用されていないまま。
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近鉄特急”ひのとり”、デッキにあるロッカー
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ただし、個人的には車内販売終了の代わりに、自販機設置を望みたいところもあり、喫煙ルームの跡地は大型荷物のロッカーと自販機のスペースとして活用することでしょう。

最後になりましたが、とにかく東海道山陽新幹線にこそ、今すぐ予約不要の大型荷物置き場の拡充が急務である、と言えます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。