アメリカ・アムトラック(Amtrak)に、新型車両”NextGen Acela”のデビューすることに合わせて、個人的には2016年にアメリカ東海岸へ渡航する機会があった際に、アムトラック(Amtrak)の”アセラエクスプレス(Acela Express)”にボストン⇒ニューヨークで乗車しましたので、今回の記事ではその旅の様子を取り上げます。
前回の記事では、アセラエクスプレス(Acela Express)の新型車両”NextGen Acela”のデビューの件を取り上げています。
※当初、"NextGen Acela"デビューの件と、過去に”アセラエクスプレス”に乗車した件を、同じ記事内で取り上げていましたが、別の記事で取り上げ、分割することで修正しました。当記事では過去に"アセラエクスプレス"に乗車したの旅のみ取り上げます。
乗車した”アセラエクスプレス”、ボストン南駅(Boston, South Station)にて。順次新型車両に置き換わると、この”アセラエクスプレス”も引退?

”NextGen Acela”&北東回廊(North East Corridor)のルートマップ。新型車両デビューに合わせてのルートマップだが、現行のアセラとルートは全く変わらない。Amtrakより

①きっぷの確保
乗車するにあたって、まずは当然きっぷを買うことになりますが、日本を出発する前にアムトラックのサイトから予約しました。”アセラエクスプレス”をはじめ、アムトラックの列車は原則として、事前に予約が必要です(駅の窓口でも購入可能、日本とは異なりID(パスポート等)の提示が義務付けられる)。アムトラックのサイトはもちろん英語版しかありませんが、そんなに難しい英語ではなく、会員登録不要で予約できるので、予約方法もシンプルでした。アムトラックのサイトから予約と決済を済ませると、メールでPDFファイルのチケットが送られてきて、あとはそのまま乗車するだけです。つまりはeチケット・チケットレスとなっていて、スマホの画面に表示させるか、自宅やオフィスのプリンタで印刷するだけで乗車できますが、駅の券売機での受け取りも可能で、あえて記念に駅で受け取ってみることにしました。また、ネット予約のチケットレスで乗れると言っても、国によっては紙に印刷することが必要な鉄道もありますので、念のため印刷しておいた方が無難でしょう。
券売機で受け取ってみた、Eチケット。飛行機の搭乗券とよく似ている。日本の鉄道みたいに、裏面の磁気加工はない。

逆に言えば、日本の新幹線や特急列車のネット予約に関しては、会員登録が必要なことが多く、自動改札対応の磁気券が一般にはなかなか入手できないこともあってか、自宅等でのプリンタできっぷを印刷することはできず、予約後に駅での受け取りが必要なことが多く、その受取にも制限があったりします。またチケットレスと言いながら、実際には特急券のみ対応で、乗車券に関しては別途用意するか、日本国内でしか入手できない交通系ICカードを用意する必要があったりと、正直アムトラックのネット予約に比べると、日本の新幹線や特急列車のネット予約の方が何かと面倒くさい点が多く、これでは日本の新幹線や特急列車でチケットレスなど、なかなか普及しないよなあ、と思わされます。
北東回廊線には"アセラエクスプレス"の他に、"ノースイースト・リージョナル(Northeast Regional)"も運転されています。"アセラエクスプレス"は"ノースイースト・リージョナル"と比べて、停車駅が少なく、所要時間も短く、車両も快適な分、料金は高めの設定で、ビジネスクラス(Business Class)とファーストクラス(First Class)のみの設定で、"ノースイースト・リージョナル"には存在するコーチクラス(Coach Class)がありません。主要都市間のビジネス客に特化した列車とも言えます。
東海道山陽新幹線で例えるなら、”のぞみ”と”ひかり”のような違いとも言えますが、車両の設備や料金に関してはかなりの差別化を図っている一方で、ダイヤに関してはニューヨーク~ワシントンDC(アセラで約2時間50分)、ニューヨーク~ボストン(アセラで約3時間30分)ともに、所要時間差は30分程度です。
アセラエクスプレスと同じく、北東回廊を走る、ノースイースト・リージョナル(Northeast Regional)、ボストン南駅にて

飛行機などと同じく、空席状況・予約の時期・利用する時間帯・キャンセルや変更の可・不可などに応じて、料金が変動する仕組みとなっています。
やはり、"ノースイースト・リージョナル"と比べると、少し割高ではありましたが、アムトラックのエースとも言える、"アセラエクスプレス"に乗らない訳には行かないと、"アセラエクスプレス"のビジネス席を迷わず選択しました。
ファーストクラスの場合は、駅のラウンジを利用できるほか、車内ではドリンクや食事も付いてきます。
乗車したのは、ボストン南駅を11:10AM, ETに出発するAcela Express2163列車です。ちょうど、平日朝の需要の多い時間帯を外れていて、料金が安くなっていること、また朝が早いと、睡眠時間が少なくなるなどの理由から、ちょうどいい列車だったのもあります。
ちなみに、アメリカの時刻表記は24時制での表記は少なく、後ろにAM(午前)やPM(午後)と表記し、さらにその後ろには、どこの時間帯かを示すET(Eastern Standard Time、東部時間)などと表記することが基本です。特に、後者に関しては、広大な大陸にあるアメリカでは、同じアメリカ国内でも時差があるからこその表記でもあります(他にCT(中部時間)・MT(山岳時間)・PT(太平洋時間)と表記)。ただし、当記事では日本で用いられている24時制の表記で示すことにします。
②ボストン南駅(Boston South Station)から出発
ボストン南駅の駅舎

”アセラエクスプレス”、ボストン南駅にて

さて、色々ときっぷの件などの前置きをしましたが、ここからは本格的にボストン南駅から乗車することとなります。ボストン南駅はアムトラックの北東回廊線の北の終着駅にもなっていますが、近郊列車のターミナル駅ともなっていて、地下鉄も乗り入れるなど、ボストンのターミナル駅でもあり、駅舎も立派です。ただし、ボストン近郊の列車はディーゼル列車のままであり、北東回廊線や”アセラエクスプレス”乗り入れのために電化した、とも言える状況です。
アムトラックには基本的に駅に改札はなく、車内での検札となります。ただし、状況によってはホームには乗客以外が入ることができず、きっぷを見せるように言われることもあります。
アムトラックに関しては、直前になるまで発車ホームが決まらず、乗客がみんなホームが決定するまでは発車案内表示の前で待ち続けています(他にイギリス、フランスなども同様)。
アセラエクスプレスはフランスTGVをベースに開発された、前後には機関車を連結した、動力集中型の車両で、外観のデザインはなかなかカッコイイと感じます。フランスTGVとの違いは、連接車両ではなく、ボギー車となっている点でしょうか。ただし、2025年にデビューする新型車両の"NextGen Acela"は連接車両となります。
2016年時点では、アムトラックは事前予約が必要でも、座席は決まっておらず、指定された列車のビジネスクラスであれば、座席は自由に選べるシステムとなっていました。座席定員制とも呼ばれるシステムで、座席の指定はなくても、座席数分以上の予約を受け付けることはないので、必ず座れる保証はあります。日本で同様のシステムだった列車は、かつての湘南ライナーや東武東上線TJライナーなどがありました。
よって、自由に座席を選びたいとなると、始発駅で先頭に並ぶしかありません。
比較的前の方に並ぶことができ、ビジネスクラスの窓側席を確保できました。ビジネスクラスは2+2列シート(ファーストクラスは2+1列シート)。アムトラックの場合、日本と同じく、基本的には座席が進行方向を向いています。これは1車両の半分は進行方向とは逆向きの席が多い、ヨーロッパとは異なる点です。各車両の真ん中付近には、グループ利用を想定して、大きなテーブルもある向かい合わせの席があります。
ビジネスクラスの車内。背もたれの上にタグがあるが、これは後述するが、乗車区間が書かれている。

ビジネスクラスの座席。一部はグループ客向けに、向かい合わせで大きなテーブルもあり。

ビジネスクラスの座席。グレーの部分を引き出せばテーブルになる。

車内Wi-Fiもあり

座席は日本人からすれば、かなり幅が広くて、ゆったりとした座席でした。もちろん、リクライニングも可能で、テーブルやコンセント、Wi-FIも付いています。
11:10、ボストン南駅を定刻通り出発。数分程度でボストン・バックベイ(Boston Back Bay)駅に停車します。ここは乗車客のための停車駅となっていて、こちらの方がボストンのビジネス街などが近いこともあってか、この駅からの乗客も多く、ボストン・バックベイ駅発車時点では窓側席はほぼ全て埋まるほどの乗車率となりました。平日昼間とは言え、多くはビジネス客であり、流石は北東回廊線、ビジネス需要の多さを実感します。
11:14、ボストン・バックベイ駅を発車すると、車掌が車内にやってきて、検札が行われます。きっぷにあるQRコードを、車掌が持っている端末に読み込むことで検札が完了。その際に車掌が乗車区間を記入したタグ(飛行機の荷物に取り付けるタグのような感じ)を、座席の背もたれの上にあるホルダーに入れて行く仕組みになっています。ここは意外にもアナログだなあ、と感じました。このタグを持てば、座席も自由に移動しても構わないとのことでした(私は移動してません)。
ちなみに、他の乗客はほとんどがスマホの画面を車掌に提示していたので、やはり日本はチケットレスの普及が遅れていることや、無駄な紙の利用が多いことも、実感させられます。
ボストン・バックベイ駅を発車すると、一気に列車は速度を上げ、200km/h(125MPH)を超える走りとなり、胸のすくような走りを見せてくれます。ただし、日本の新幹線と比べると、車内は結構揺れることが多いです。
11:24、Route128駅を過ぎると、全米一面積の狭い州となっている、ロードアイランド州(Rhode Island)へ。同州には11:46、プロビデンス駅(Providence, RI)に停車しました。
ここで、いくつか車窓の写真を紹介します。基本的に北東回廊線は東海岸の海岸に近いところを走行するので、トンネルがほとんどなく、川を何本も渡ったり、時には海や入り江の景色に、緑ある芝生などの区間など、のどかな区間もありますが、ここは北東回廊と言うこともあり、アセラエクスプレスの停車駅の周辺に関しては、まとまって大きな街があるのも特徴です。
全米でも一番列車本数のある区間を通過することもあり、途中多くの列車ともすれ違いました。
緑あふれる区間も通過

海を望める区間も

③車内を探検
ここで車内を探検することにします。アムトラックの場合、基本的に車内での会話や携帯電話での通話に関しては自由であり、乗車した車両でもビジネスマンが普通に座席で会話をしていて、結構賑やかでした。通話の際にはデッキに行くよう促される、日本とはまた違う光景を見ることができます。
ただし、アセラエクスプレスには1両だけクワイエットカー(Quiet Car)と言うものが設定されていて、ここでは車内でのうるさい会話や通話などを嫌い、静かに過ごしたい乗客向けの車両となっていて、ここでの会話や携帯電話の通話は一切禁止されています。ただし、乗り過ごし防止のためなのか、車内放送だけは普通に流れます。
かつて、山陽新幹線の”ひかりレールスター”で、同じようなサイレンスカーと言う設定がありましたが、この列車に関しては車内放送すらも流れず、乗り過ごしにはかなり気を使ったはずです。
カフェカー Cafe Car

車内でホットドッグとペプシーを味わう

カフェカーまで来ました。ファーストクラスの乗客は車内でドリンク・食事が付いてくるので、専らビジネスクラス向けの設備です。ここでちょうどお昼の時間帯となったので、ホットドッグとペプシーを注文し、味わいました。
日本の新幹線や特急列車では、食堂車やカフェはほとんど消滅し、近年では車内販売や自販機すらも廃止になるなど、本当に味気ないものになってしまいましたが、アムトラックでは大抵の列車でこのようなカフェカーがあり、日本ではなかなか味わえないカフェカーでの食事を楽しむことができます。またアセラエクスプレスにはありませんが、アムトラックでも寝台車両を連結した長距離列車であれば、食堂車もあります。
バリアフリー関連の設備に関しても、車椅子対応トイレがある他、車椅子対応の座席もあります。
ところで、アセラエクスプレスの座席前のシートポケットには、非常時を想定して、飛行機と同じような、Customer Safety Instructions(安全のしおり)が備えられていました。
前回の記事では、アセラエクスプレス(Acela Express)の新型車両”NextGen Acela”のデビューの件を取り上げています。
※当初、"NextGen Acela"デビューの件と、過去に”アセラエクスプレス”に乗車した件を、同じ記事内で取り上げていましたが、別の記事で取り上げ、分割することで修正しました。当記事では過去に"アセラエクスプレス"に乗車したの旅のみ取り上げます。
乗車した”アセラエクスプレス”、ボストン南駅(Boston, South Station)にて。順次新型車両に置き換わると、この”アセラエクスプレス”も引退?

”NextGen Acela”&北東回廊(North East Corridor)のルートマップ。新型車両デビューに合わせてのルートマップだが、現行のアセラとルートは全く変わらない。Amtrakより

過去にボストン(Boston, MA)⇒ニューヨーク(New York City, NY)で”アセラエクスプレス”に乗車した旅を紹介:取り上げる内容上記のリンクから、前回の記事でも取り上げましたが、アメリカの鉄道において、都市間旅客輸送で電化区間&高頻度運転&高速運転と、例外中の例外が詰まっている、アメリカ北東部・東海岸のボストン(Boston, MA)~ニューヨーク(New York City, NY)~ワシントンDC(Washington, DC)の約735kmを結ぶ、北東回廊(North East Corridor)と呼ばれるエリア。全米でも有数の人口密集地帯である北東回廊を走行する列車の中で、最も代表的で、アムトラックのエースとも呼べる列車が”アセラエクスプレス”であります。
①きっぷの確保
②ボストン南駅(Boston, South Station)から出発
③車内を探検
④ニューヨーク・ペンステーション(New York, Penn Station)に到着
①きっぷの確保
乗車するにあたって、まずは当然きっぷを買うことになりますが、日本を出発する前にアムトラックのサイトから予約しました。”アセラエクスプレス”をはじめ、アムトラックの列車は原則として、事前に予約が必要です(駅の窓口でも購入可能、日本とは異なりID(パスポート等)の提示が義務付けられる)。アムトラックのサイトはもちろん英語版しかありませんが、そんなに難しい英語ではなく、会員登録不要で予約できるので、予約方法もシンプルでした。アムトラックのサイトから予約と決済を済ませると、メールでPDFファイルのチケットが送られてきて、あとはそのまま乗車するだけです。つまりはeチケット・チケットレスとなっていて、スマホの画面に表示させるか、自宅やオフィスのプリンタで印刷するだけで乗車できますが、駅の券売機での受け取りも可能で、あえて記念に駅で受け取ってみることにしました。また、ネット予約のチケットレスで乗れると言っても、国によっては紙に印刷することが必要な鉄道もありますので、念のため印刷しておいた方が無難でしょう。
券売機で受け取ってみた、Eチケット。飛行機の搭乗券とよく似ている。日本の鉄道みたいに、裏面の磁気加工はない。

逆に言えば、日本の新幹線や特急列車のネット予約に関しては、会員登録が必要なことが多く、自動改札対応の磁気券が一般にはなかなか入手できないこともあってか、自宅等でのプリンタできっぷを印刷することはできず、予約後に駅での受け取りが必要なことが多く、その受取にも制限があったりします。またチケットレスと言いながら、実際には特急券のみ対応で、乗車券に関しては別途用意するか、日本国内でしか入手できない交通系ICカードを用意する必要があったりと、正直アムトラックのネット予約に比べると、日本の新幹線や特急列車のネット予約の方が何かと面倒くさい点が多く、これでは日本の新幹線や特急列車でチケットレスなど、なかなか普及しないよなあ、と思わされます。
北東回廊線には"アセラエクスプレス"の他に、"ノースイースト・リージョナル(Northeast Regional)"も運転されています。"アセラエクスプレス"は"ノースイースト・リージョナル"と比べて、停車駅が少なく、所要時間も短く、車両も快適な分、料金は高めの設定で、ビジネスクラス(Business Class)とファーストクラス(First Class)のみの設定で、"ノースイースト・リージョナル"には存在するコーチクラス(Coach Class)がありません。主要都市間のビジネス客に特化した列車とも言えます。
東海道山陽新幹線で例えるなら、”のぞみ”と”ひかり”のような違いとも言えますが、車両の設備や料金に関してはかなりの差別化を図っている一方で、ダイヤに関してはニューヨーク~ワシントンDC(アセラで約2時間50分)、ニューヨーク~ボストン(アセラで約3時間30分)ともに、所要時間差は30分程度です。
アセラエクスプレスと同じく、北東回廊を走る、ノースイースト・リージョナル(Northeast Regional)、ボストン南駅にて

飛行機などと同じく、空席状況・予約の時期・利用する時間帯・キャンセルや変更の可・不可などに応じて、料金が変動する仕組みとなっています。
やはり、"ノースイースト・リージョナル"と比べると、少し割高ではありましたが、アムトラックのエースとも言える、"アセラエクスプレス"に乗らない訳には行かないと、"アセラエクスプレス"のビジネス席を迷わず選択しました。
ファーストクラスの場合は、駅のラウンジを利用できるほか、車内ではドリンクや食事も付いてきます。
乗車したのは、ボストン南駅を11:10AM, ETに出発するAcela Express2163列車です。ちょうど、平日朝の需要の多い時間帯を外れていて、料金が安くなっていること、また朝が早いと、睡眠時間が少なくなるなどの理由から、ちょうどいい列車だったのもあります。
ちなみに、アメリカの時刻表記は24時制での表記は少なく、後ろにAM(午前)やPM(午後)と表記し、さらにその後ろには、どこの時間帯かを示すET(Eastern Standard Time、東部時間)などと表記することが基本です。特に、後者に関しては、広大な大陸にあるアメリカでは、同じアメリカ国内でも時差があるからこその表記でもあります(他にCT(中部時間)・MT(山岳時間)・PT(太平洋時間)と表記)。ただし、当記事では日本で用いられている24時制の表記で示すことにします。
②ボストン南駅(Boston South Station)から出発
ボストン南駅の駅舎

”アセラエクスプレス”、ボストン南駅にて

さて、色々ときっぷの件などの前置きをしましたが、ここからは本格的にボストン南駅から乗車することとなります。ボストン南駅はアムトラックの北東回廊線の北の終着駅にもなっていますが、近郊列車のターミナル駅ともなっていて、地下鉄も乗り入れるなど、ボストンのターミナル駅でもあり、駅舎も立派です。ただし、ボストン近郊の列車はディーゼル列車のままであり、北東回廊線や”アセラエクスプレス”乗り入れのために電化した、とも言える状況です。
アムトラックには基本的に駅に改札はなく、車内での検札となります。ただし、状況によってはホームには乗客以外が入ることができず、きっぷを見せるように言われることもあります。
アムトラックに関しては、直前になるまで発車ホームが決まらず、乗客がみんなホームが決定するまでは発車案内表示の前で待ち続けています(他にイギリス、フランスなども同様)。
アセラエクスプレスはフランスTGVをベースに開発された、前後には機関車を連結した、動力集中型の車両で、外観のデザインはなかなかカッコイイと感じます。フランスTGVとの違いは、連接車両ではなく、ボギー車となっている点でしょうか。ただし、2025年にデビューする新型車両の"NextGen Acela"は連接車両となります。
2016年時点では、アムトラックは事前予約が必要でも、座席は決まっておらず、指定された列車のビジネスクラスであれば、座席は自由に選べるシステムとなっていました。座席定員制とも呼ばれるシステムで、座席の指定はなくても、座席数分以上の予約を受け付けることはないので、必ず座れる保証はあります。日本で同様のシステムだった列車は、かつての湘南ライナーや東武東上線TJライナーなどがありました。
よって、自由に座席を選びたいとなると、始発駅で先頭に並ぶしかありません。
比較的前の方に並ぶことができ、ビジネスクラスの窓側席を確保できました。ビジネスクラスは2+2列シート(ファーストクラスは2+1列シート)。アムトラックの場合、日本と同じく、基本的には座席が進行方向を向いています。これは1車両の半分は進行方向とは逆向きの席が多い、ヨーロッパとは異なる点です。各車両の真ん中付近には、グループ利用を想定して、大きなテーブルもある向かい合わせの席があります。
ビジネスクラスの車内。背もたれの上にタグがあるが、これは後述するが、乗車区間が書かれている。

ビジネスクラスの座席。一部はグループ客向けに、向かい合わせで大きなテーブルもあり。

ビジネスクラスの座席。グレーの部分を引き出せばテーブルになる。

車内Wi-Fiもあり

座席は日本人からすれば、かなり幅が広くて、ゆったりとした座席でした。もちろん、リクライニングも可能で、テーブルやコンセント、Wi-FIも付いています。
11:10、ボストン南駅を定刻通り出発。数分程度でボストン・バックベイ(Boston Back Bay)駅に停車します。ここは乗車客のための停車駅となっていて、こちらの方がボストンのビジネス街などが近いこともあってか、この駅からの乗客も多く、ボストン・バックベイ駅発車時点では窓側席はほぼ全て埋まるほどの乗車率となりました。平日昼間とは言え、多くはビジネス客であり、流石は北東回廊線、ビジネス需要の多さを実感します。
11:14、ボストン・バックベイ駅を発車すると、車掌が車内にやってきて、検札が行われます。きっぷにあるQRコードを、車掌が持っている端末に読み込むことで検札が完了。その際に車掌が乗車区間を記入したタグ(飛行機の荷物に取り付けるタグのような感じ)を、座席の背もたれの上にあるホルダーに入れて行く仕組みになっています。ここは意外にもアナログだなあ、と感じました。このタグを持てば、座席も自由に移動しても構わないとのことでした(私は移動してません)。
ちなみに、他の乗客はほとんどがスマホの画面を車掌に提示していたので、やはり日本はチケットレスの普及が遅れていることや、無駄な紙の利用が多いことも、実感させられます。
ボストン・バックベイ駅を発車すると、一気に列車は速度を上げ、200km/h(125MPH)を超える走りとなり、胸のすくような走りを見せてくれます。ただし、日本の新幹線と比べると、車内は結構揺れることが多いです。
11:24、Route128駅を過ぎると、全米一面積の狭い州となっている、ロードアイランド州(Rhode Island)へ。同州には11:46、プロビデンス駅(Providence, RI)に停車しました。
ここで、いくつか車窓の写真を紹介します。基本的に北東回廊線は東海岸の海岸に近いところを走行するので、トンネルがほとんどなく、川を何本も渡ったり、時には海や入り江の景色に、緑ある芝生などの区間など、のどかな区間もありますが、ここは北東回廊と言うこともあり、アセラエクスプレスの停車駅の周辺に関しては、まとまって大きな街があるのも特徴です。
全米でも一番列車本数のある区間を通過することもあり、途中多くの列車ともすれ違いました。
緑あふれる区間も通過

海を望める区間も

③車内を探検
ここで車内を探検することにします。アムトラックの場合、基本的に車内での会話や携帯電話での通話に関しては自由であり、乗車した車両でもビジネスマンが普通に座席で会話をしていて、結構賑やかでした。通話の際にはデッキに行くよう促される、日本とはまた違う光景を見ることができます。
ただし、アセラエクスプレスには1両だけクワイエットカー(Quiet Car)と言うものが設定されていて、ここでは車内でのうるさい会話や通話などを嫌い、静かに過ごしたい乗客向けの車両となっていて、ここでの会話や携帯電話の通話は一切禁止されています。ただし、乗り過ごし防止のためなのか、車内放送だけは普通に流れます。
かつて、山陽新幹線の”ひかりレールスター”で、同じようなサイレンスカーと言う設定がありましたが、この列車に関しては車内放送すらも流れず、乗り過ごしにはかなり気を使ったはずです。
カフェカー Cafe Car

車内でホットドッグとペプシーを味わう

カフェカーまで来ました。ファーストクラスの乗客は車内でドリンク・食事が付いてくるので、専らビジネスクラス向けの設備です。ここでちょうどお昼の時間帯となったので、ホットドッグとペプシーを注文し、味わいました。
日本の新幹線や特急列車では、食堂車やカフェはほとんど消滅し、近年では車内販売や自販機すらも廃止になるなど、本当に味気ないものになってしまいましたが、アムトラックでは大抵の列車でこのようなカフェカーがあり、日本ではなかなか味わえないカフェカーでの食事を楽しむことができます。またアセラエクスプレスにはありませんが、アムトラックでも寝台車両を連結した長距離列車であれば、食堂車もあります。
バリアフリー関連の設備に関しても、車椅子対応トイレがある他、車椅子対応の座席もあります。
ところで、アセラエクスプレスの座席前のシートポケットには、非常時を想定して、飛行機と同じような、Customer Safety Instructions(安全のしおり)が備えられていました。
各座席に備え付けられている、Customer Safety Instructions(安全のしおり)

各座席の窓は非常口(Emergency Exit)にもなっていて、いざなった時には窓を開けられるようになっています。時速200km/h以上で走行するのに、気密性などが気になるところですが、北東回廊にはトンネルがほとんど存在しないことなどから、問題ないのでしょうか?
ヨーロッパやアジアの高速列車を見ても、車内には等間隔で、いざとなった時には窓ガラスを割って、脱出できるよう、ハンマーが取り付けられているのが一般的です。
それに対して、日本の新幹線を見ると、そのような設備が一切なく、非常時にデッキのドアや通常の出入口から脱出できないとなった時に、窓から脱出することを想定していないのは、本当に安全性に疑問を感じざるを得ません。

各座席の窓は非常口(Emergency Exit)にもなっていて、いざなった時には窓を開けられるようになっています。時速200km/h以上で走行するのに、気密性などが気になるところですが、北東回廊にはトンネルがほとんど存在しないことなどから、問題ないのでしょうか?
ヨーロッパやアジアの高速列車を見ても、車内には等間隔で、いざとなった時には窓ガラスを割って、脱出できるよう、ハンマーが取り付けられているのが一般的です。
それに対して、日本の新幹線を見ると、そのような設備が一切なく、非常時にデッキのドアや通常の出入口から脱出できないとなった時に、窓から脱出することを想定していないのは、本当に安全性に疑問を感じざるを得ません。
さて、列車はコネティカット州(Connecticut)に入り、13:13にニューヘブン(New Haven, CT)へ。北東回廊線の弱点としては、全線が高速運転できる路線ではなく、所々に19世紀からの設備をそのまま使っている急カーブがあったり、地域鉄道の通勤路線(ニューヨーク近郊のメトロノース鉄道など)と線路を共有している区間もあり、速度がかなり抑えられる区間があるところです。
このアセラも、ニューヘブンを出発すると、速度があまり上がることがなく、ニューヨークへ至っているほどなので、やはりここで時間のロスなど、制約になっている点が明らかでした。
ニューヨーク州に入り、徐々に沿線にビルや住宅が多くなってくると、ニューヨークが近づいていることを実感。ニューヨーク・マンハッタンの摩天楼が徐々に見えてくると、イーストリバー(East River)に架かる、ヘルゲート橋(Hell Gate Bridge)に差し掛かります。この橋は、よくアムトラックのポスターなどでも出てくることが多いほど、有名な撮影スポットの一つです。
ヘルゲート橋(Hell Gate Bridge)に差し掛かる。ニューヨーク到着はもうすぐ。

④ニューヨーク・ペンステーション(New York, Penn Station)に到着

ヘルゲート橋を渡り、一旦ロングアイランド島(Long Island)を走行し、イーストリバーの手前で車両基地を眺めながら、列車はニューヨークの地下区間へ。再び、イーストリバーを地下で通過すると、程なく地下駅のニューヨーク・ペンステーション(New York, Penn Station)に、ほぼ定刻の14:45に到着。この列車は15分停車後、引き続きワシントンDCへ向かいますが、乗客の大半はこのニューヨーク・ペンステーションで入れ替わりました。
アムトラックと言えば、貨物鉄道が所有する路線を借りて走行していることが多く、ダイヤは貨物優先となっていて、よく遅れることも多いですが、この北東回廊に関しては大半をアムトラック自社が保有する路線であり、またビジネス需要が多いこともあってか、旅客優先で定時運行率が高い路線でもあります。こう言う点でも、またアメリカの鉄道における例外を感じることができます。
ニューヨーク・ペンステーションは、正式にはペンシルベニア駅(Pennsylvania Station)と呼ばれ、かつてはペンシルベニア鉄道が乗り入れていたことから付けられた駅名ですが、略してペンステーションと呼ばれることが一般的です。
ニューヨークにおける長距離列車・アムトラックのターミナル駅であることはもちろん、他にも近郊の通勤列車となるメトロノース鉄道(Metro North Railroad)、ロングアイランド鉄道(Long Island Railroad)、ニュージャージー・トランジット(New Jersey Transit)も乗り入れる他、MTAニューヨーク地下鉄(New York City Subway)も乗り入れる、全米一乗降客数の多い駅でもあります。アムトラックや近郊の通勤鉄道が乗り入れるホームやコンコースも全て地下にあり、その地下に10線以上のホームが並ぶ巨大駅です。地下にこれだけ多くのホームが一気に並ぶ駅と言うのは、世界的に見ても、なかなかないのでは?、と感じるほどです。
マディソン・スクエア・ガーデン(Madison Square Garden)の地下に、ペンステーションはある

ただ、ニューヨーク・ペンステーションの残念な点は、戦後になってからシンボルとなる駅舎が取り壊され、2016年時点では他の駅とは異なり、シンボルとなる駅舎がなかったことです。どちらかと言えば、NBA(プロ・バスッケットボール)の試合やイベント等で使われる、マディソン・スクエア・ガーデンがメインとなっていて、その地下に駅があるに過ぎない、と言う点です。全米一乗降客が多くて、混雑する、ニューヨークの玄関口とも言える駅でありながら、地下空間は決して広いとも言えず、決して明るいとも言えず、開放感に欠ける点が欠点でもありました。
ただし、その後のペンステーション拡張計画に合わせて、駅から通りを挟んで向かいにある、ジェームズ・ファーレー郵便局を改修して、駅舎として活用することにより、かつての駅舎を取り戻す計画がスタート。2021年にモイニハン・トレイン・ホール(Moynihan Train Hall)の名で開業しています。この駅舎がオープンしてからニューヨークには行っていませんが、映像などを見ると、太陽光が差し込む、ガラス張りの大きな吹き抜けがあるなど、大きく変わったなあ、と感じます。ぜひ次は、このモイニハン・トレイン・ホール(Moynihan Train Hall)から、NextGen Acelaに乗ってみたいところです。
ニューヨーク・ペンステーション(New York, Penn Station)、モイニハン・トレイン・ホール(Moynihan Train Hall)、コンコース。Moynihan Train Hallより。

アメリカの鉄道では珍しく電化区間で、時速200km/h以上での高速運転に、都市間の旅客需要の多さ、列車本数の多さなど、例外中の例外が詰まっている北東回廊線。ボストン⇒ニューヨーク、3時間半ほどのアセラエクスプレスの旅は、本当に見どころが多く、楽しい列車旅となりました。
以上、ここまで新型のアセラエクスプレスのデビューと、過去にアセラエクスプレスに乗車した旅の様子を取り上げました。
次、いつアメリカ東海岸に行く機会があるか、わかりませんが、ぜひ新型のアセラエクスプレスにも一度は乗車してみたいところです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
このアセラも、ニューヘブンを出発すると、速度があまり上がることがなく、ニューヨークへ至っているほどなので、やはりここで時間のロスなど、制約になっている点が明らかでした。
ニューヨーク州に入り、徐々に沿線にビルや住宅が多くなってくると、ニューヨークが近づいていることを実感。ニューヨーク・マンハッタンの摩天楼が徐々に見えてくると、イーストリバー(East River)に架かる、ヘルゲート橋(Hell Gate Bridge)に差し掛かります。この橋は、よくアムトラックのポスターなどでも出てくることが多いほど、有名な撮影スポットの一つです。
ヘルゲート橋(Hell Gate Bridge)に差し掛かる。ニューヨーク到着はもうすぐ。

④ニューヨーク・ペンステーション(New York, Penn Station)に到着

ヘルゲート橋を渡り、一旦ロングアイランド島(Long Island)を走行し、イーストリバーの手前で車両基地を眺めながら、列車はニューヨークの地下区間へ。再び、イーストリバーを地下で通過すると、程なく地下駅のニューヨーク・ペンステーション(New York, Penn Station)に、ほぼ定刻の14:45に到着。この列車は15分停車後、引き続きワシントンDCへ向かいますが、乗客の大半はこのニューヨーク・ペンステーションで入れ替わりました。
アムトラックと言えば、貨物鉄道が所有する路線を借りて走行していることが多く、ダイヤは貨物優先となっていて、よく遅れることも多いですが、この北東回廊に関しては大半をアムトラック自社が保有する路線であり、またビジネス需要が多いこともあってか、旅客優先で定時運行率が高い路線でもあります。こう言う点でも、またアメリカの鉄道における例外を感じることができます。
ニューヨーク・ペンステーションは、正式にはペンシルベニア駅(Pennsylvania Station)と呼ばれ、かつてはペンシルベニア鉄道が乗り入れていたことから付けられた駅名ですが、略してペンステーションと呼ばれることが一般的です。
ニューヨークにおける長距離列車・アムトラックのターミナル駅であることはもちろん、他にも近郊の通勤列車となるメトロノース鉄道(Metro North Railroad)、ロングアイランド鉄道(Long Island Railroad)、ニュージャージー・トランジット(New Jersey Transit)も乗り入れる他、MTAニューヨーク地下鉄(New York City Subway)も乗り入れる、全米一乗降客数の多い駅でもあります。アムトラックや近郊の通勤鉄道が乗り入れるホームやコンコースも全て地下にあり、その地下に10線以上のホームが並ぶ巨大駅です。地下にこれだけ多くのホームが一気に並ぶ駅と言うのは、世界的に見ても、なかなかないのでは?、と感じるほどです。
マディソン・スクエア・ガーデン(Madison Square Garden)の地下に、ペンステーションはある

ただ、ニューヨーク・ペンステーションの残念な点は、戦後になってからシンボルとなる駅舎が取り壊され、2016年時点では他の駅とは異なり、シンボルとなる駅舎がなかったことです。どちらかと言えば、NBA(プロ・バスッケットボール)の試合やイベント等で使われる、マディソン・スクエア・ガーデンがメインとなっていて、その地下に駅があるに過ぎない、と言う点です。全米一乗降客が多くて、混雑する、ニューヨークの玄関口とも言える駅でありながら、地下空間は決して広いとも言えず、決して明るいとも言えず、開放感に欠ける点が欠点でもありました。
ただし、その後のペンステーション拡張計画に合わせて、駅から通りを挟んで向かいにある、ジェームズ・ファーレー郵便局を改修して、駅舎として活用することにより、かつての駅舎を取り戻す計画がスタート。2021年にモイニハン・トレイン・ホール(Moynihan Train Hall)の名で開業しています。この駅舎がオープンしてからニューヨークには行っていませんが、映像などを見ると、太陽光が差し込む、ガラス張りの大きな吹き抜けがあるなど、大きく変わったなあ、と感じます。ぜひ次は、このモイニハン・トレイン・ホール(Moynihan Train Hall)から、NextGen Acelaに乗ってみたいところです。
ニューヨーク・ペンステーション(New York, Penn Station)、モイニハン・トレイン・ホール(Moynihan Train Hall)、コンコース。Moynihan Train Hallより。

アメリカの鉄道では珍しく電化区間で、時速200km/h以上での高速運転に、都市間の旅客需要の多さ、列車本数の多さなど、例外中の例外が詰まっている北東回廊線。ボストン⇒ニューヨーク、3時間半ほどのアセラエクスプレスの旅は、本当に見どころが多く、楽しい列車旅となりました。
以上、ここまで新型のアセラエクスプレスのデビューと、過去にアセラエクスプレスに乗車した旅の様子を取り上げました。
次、いつアメリカ東海岸に行く機会があるか、わかりませんが、ぜひ新型のアセラエクスプレスにも一度は乗車してみたいところです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。









